森林再生 都市から山へ<5> 行政の取り組み

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赤々と燃えるまきストーブの傍らで本を手にする小学生たち=都幾川村で

 赤々と燃える炎の脇で、子どもたちが本を手に取る。都幾川村の明神小学校。床、壁などに厚い木板を張った木質化の図書室で今冬、まきストーブが使われ始めた。

 「においがいい。木のぬくもりが感じられ、情操教育に役立つ。設置場所は任されたので、皆に集まってほしい図書室にした」と金子一美校長。まきストーブは外国製で、二〇〇一年から村が一台平均五十万円前後で公共施設に取り付け始め、現在五台になった。

 「自宅にも購入した」と大沢堯村長(56)。同村は「木の村」を自任する。木工品などを作る際の端材を利用するストーブによって、少しでも木材の流通促進につなげたいという。大沢村長は昨秋、森林保全と若年層の地元雇用を目指す「みどりの雇用創出」を公約、無投票再選された。

 「県レベルでは山の保全には『機械を入れましょう』になる。でも都幾川や秩父の山は険しく、人手に頼らざるを得ない所が多い。人の技術を伝承させたい」。同様の制度は和歌山県などもつくったというが、「ほとんどが一年契約。せめて五年契約にしたい」。

 隣の玉川村は、初めて小中学校舎の木質化を導入したことで知られる。保健効果を裏付けるため、専門機関に委託して調査を実施中だ。関口定男村長(55)は言う。「いずれ建て替えるのだから、木質化は無駄ともいわれるが、既存校舎に筋交いを入れれば、耐震性は新設と遜色(そんしょく)ない。長い目でみればコストは低い」

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 荒川支流の新河岸川が流れる上福岡市は昨年、源流部の大滝村と「森林づくり事業に関する協定」を交わした。一九九八年度から積み立ててきた「森ダム基金」を、同村内での間伐や下草刈りの作業費、広報活動費などに活用する。

 「基金の名は、森林の水源涵養(かんよう)機能をダムに例えた。市内の水道水の80%が、荒川から取水する大久保浄水場から供給されるなど、さまざまな恩恵をもたらす源流地域を支援する」と同市。利根川流域の杉戸町と神泉村が締結した「交流の森」整備事業の協定をヒントにした。

 県も昨年十二月、県有の建物をできる限り木造にし、土木工事での木材活用や木製品の備品購入などを盛り込んだ木材使用の指針を打ち出した。四月一日から運用する予定だ。この指針により、森林業者や製材所には年間三億円以上の経済効果が期待できるという。

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 これら行政の取り組みを、東京農業大の宮林茂幸教授(50)=森林政策学=は「公的資本は必要」と評価しつつ「行政に任せきりでは成功しない。都市と村の住民が一緒に振興策を考え合っていかなければ」と指摘する。

 新座市在住の宮林教授は「98%が山林」の長野県信州新町出身。大学のある東京都世田谷区と群馬県川場村を一九八〇年代に“縁組み”させ、農業や山仕事の体験、川遊び、森林散策を楽しむ子ども向けの自然教室など、今では珍しくなくなった都市と山村住民の「参加型」交流を先駆けて提唱、実践してきた。

 「教育や食生活にもかかわるから、NPO(民間非営利団体)、大学にとどまらず、民間を大きく巻き込むことが、今後の課題。バブル期の投機型リゾート開発は論外だが、森林の再生に、下流の大企業も積極的になってほしい」と熱く思いを語った。
(堀場 達)

投稿者: @sushi | 投稿日時: 2004年01月09日 20:06 | 他サイトからのリンク
この投稿へのコメント

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