森林再生 都市から山へ<3> 中流から・下

この投稿に関連するトピック:NPO/NGO | 森林資源 | 水資源 | 環境の再生・復元 | 身障者

中日新聞

 小春日和の日差しが柔らかく差し込む。自然の素材を生かした木工品や、手作りのクリスマスリースなどが並ぶ展示スペースを抜けて二階に上がると、ハチやトンボなどの昆虫の標本、水槽では小魚やザリガニが迎えてくれた。

 NPO法人(特定非営利活動法人)「むさしの里山研究会」が昨年十一月、寄居町用土の民家を改装してオープンした里山ギャラリー「ノア」。大洪水から生き物を救った旧約聖書の箱船の故事にちなんで名付けた。

 研究会理事長の新井裕さん(55)は「里山保全は地域づくり。そのための出会いの場にしたい」と新しい活動拠点の意義を強調する。展示のほか、そば打ちやパンづくり、手芸などの講習会も企画している。

 建物は空き家になっていたのを、所有者の好意により無償で借りた。庭の草刈りから始め、内装などもメンバーの手作り。作業全般に携わった志村政弘さん(46)は「草刈りが大変だったが、地元の人がオープンの時に関心をもってくれてよかった」と手応えを感じている。敷地内の別棟には、これまでの里山保全活動を通じた障害者との交流事業を発展させ、作業施設をつくる計画もある。

 身近な自然に親しめるトンボ公園づくりに取り組んできた「寄居町にトンボ公園を作る会」と並行して、新井さんらが研究会を発足させたのは一九九九年。翌年にはNPO法人の認証を得て活動基盤を整えた。同町男衾地区で田畑や雑木林を借り、農業や林の手入れの体験活動を続けるほか、生物調査や観察会なども行っている。

 元教諭の南部敏明さん(68)はハチの研究をはじめ、昆虫類の調査を主に担当。ギャラリーの標本も手がけた。「ゴルフ場反対運動から出発し、トンボ公園をつくった。環境保護の大本に里山がある」と指摘する。

 かつて豊かな里山は、耕作や樹木の伐採など、人間の営みによって保たれてきた。山が荒れ、休耕地が増えれば、里山も荒れる。「だから活動を点から面に広げ、地元の人と一緒に新しい地域づくりにつなげたい。そのためには活動が持続できるよう、事業化を考える段階にも来ている」。新井さんの持論は、転換期に来ている自然保護運動の一つの将来像を示している。

 研究会は今後、地元の農家や地主らに対し、田畑・山林の保全や、市民運動との連携などについての意向調査を実施。その結果から、NPOがかかわる里山維持の方法や、行政の支援策のあり方を探るという。全国から注目されたトンボ公園に続く「寄居モデル」を生み出せるか、大きな課題に挑む。

(大鹿 雅人)

投稿者: @sushi | 投稿日時: 2004年01月07日 01:04 | 他サイトからのリンク
この投稿へのコメント
コメント入力









次回、再入力の手間を省くためにこれらの情報を記憶させますか?