林業に“新鮮力”、就労の9割が転職組

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 高齢化が深刻な林業に、都会の若者や働き盛りの30—40歳代の転職者が増えている。林野庁によると、昨年度の新規就業者約2200人の9割が、他業種からの転職組だった。

 林野庁などが主催した昨年と今年の林業就業相談会には計約1万2000人が来場する人気ぶり。不況で失業した人や仕事に追われることに嫌気した会社員など、自然の中でゆとりとやりがいを求める人が多いという。林野庁では来月、全国各地で3回目の就業相談会を開く予定で「厳しい仕事だが熱意を持った人に来てほしい」と若い力に期待している。

 林野庁によると、1975年に約18万人だった林業従事者は現在、約6万人にまで減少している。65歳以上が4分の1を占めており、高齢化などで年間約6000人も辞めるという。

 こうした中、新規就業者は昨年度、5年前より35%も増えて、約2200人に上った。失業者も含め約9割が他業種からの転職で、U・Iターンも3割近い。林野庁では「以前は山の所有者や農家出身の人が多かったが、ここ10年間で労災保険などの社会保障も整い、全く林業に縁のない人の就業が増えた」と話す。

 林野庁や全国森林組合連合会が昨年1月、初めて全国規模の林業就業相談会を開いたところ、東京など11会場に計5600人が来場した。今年1月の相談会も、14か所で計6700人が詰めかける盛況ぶりで、順番待ちの行列が出来る会場もあった。

 少しでも早く“戦力”になってほしいと、林野庁は今年度、林業希望者に実地研修を行う「緑の雇用担い手育成対策事業」を始めた。約2400人の研修生のうち約半数は50歳未満だ。

 秋田県の森林組合で研修する高橋保さん(36)は、自動車部品メーカーの元社員。不況で人員削減が進み、残った高橋さんらの仕事量が増え、「ゆとりと達成感のある職人的な仕事がしたい」と退社した。和歌山県熊野川町森林組合の響谷直樹さん(37)は、埼玉県で祖父の代からの理髪店主だった。「店内では忙しいと天気も分からない。どうしても自然の中で仕事がしたくて店を閉めた。山仕事はきついが季節感があり、時間に追われない」と話す。

 ただ、炎天下での下草刈りなどの重労働も多い。安い外国産材に押されるなどし、国内の林業を取り巻く情勢も厳しい。それだけに関係者は「定着率」に気をもむ。実際に3年間で新規就業者2、3割が辞めるという。

 日給制が多く、雨などで作業が出来ないと直接収入に響く。「20日で20万円ぐらいの給料。さらに雨が降ると手取りが減る。奥さんがアルバイトの仕事を探す人もいるが、都会と違ってなかなか見つからない」と話す研修生もいる。

 地球温暖化対策などの環境面で、森林の保護や育成の必要性が高まっているだけに、林野庁では「待遇面などで改善も進め、やる気のある人の定着を図っていきたい」としている。

 ◆緑の雇用担い手育成対策事業=森林組合などに委託し、研修生に枝打ちや植え付けなど約30項目の専門技術を身につけてもらう。期間は1年で、終了後は研修先の森林組合などに就職する。林野庁では労災保険や機材のリース料などを補助している。

投稿者: @sushi | 投稿日時: 2003年12月14日 00:54