「エネルギー・ウェブ」構想とは?

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日経BizTech

 最近、「エネルギー・ウェブ」「燃料電池ネットワーク」などと呼ばれる新しいエネルギーシステムの概念が提案され始めた。家庭や事務所に小型の燃料電池コージェネレーションシステムを設置し、それらを互いに電力線でつないでネットワーク化し、電気を双方向でやりとりすることで、必要な電気をまかなおうというものだ。大規模な発電所から消費者に一方的に電気を配るのではなく、小さな発電機をネットワークで結び網全体で電力需要をまかなうという発想だ。

 例えば、燃料電池コージェネを、排熱利用(給湯や空調)を主体に運転して電気があまれば、ネットワークに流して売電し、また自宅の燃料電池だけで電力需要がまかなえなければネットワークを通じて買電するという仕組みだ。

 そもそも米国の電力研究所(EPRI)が2001年に発表した分散電源に関する報告書のなかで、「大型コンピューターによる集中処理が、パソコンネットワークによる分散処理システムに変わったのと同じような構造変化がいずれ電力システムでも起こる」と指摘した。この技術思想に、インターネットの急速な普及、そして小型でも発電効率の高い固体高分子型燃料電池(PEFC)の急速な技術革新が組み合わさり、ここ数年「燃料電池ネットワーク」という考え方が提唱されるようになった。

 マイクロガスタービンやガスエンジンなど、燃料電池以外にも数kW?20kW程度の小型発電機はすでに実用化されている。ただ、いずれも発電効率が20%前後と低く、また騒音や排気ガスの問題もあり、一般家庭に広く普及するには限界もある。燃料電池は小型でも発電効率が高く、騒音や排気ガスの問題も少ない。分散電源には最も適している。

 米国の文明評論家、ジェレミー・リフキンは、将来訪れる水素を基盤にしたエネルギーシステム時代は、水素供給インフラと燃料電池そしてそれらを結んだネットワークによって、「水素エネルギーウェブ」がエネルギーシステムとして普及すると主張している。

 日本でも、日本総合研究所がこの考え方に賛同し、2003年に普及を目指したコンソーシアムを立ち上げた。日本総研・創発研究センターの井熊均所長は、「燃料電池ネットワークが実現するには、画期的な水素貯蔵技術と双方向にやり取りできる新しい電力ネットワークシステム、そしてネットワーク全体の電力の需給バランスを監視し、制御する技術などで革新が必要。だが、それらはすべて実現可能なレベル」と見る。

 東京大学の平田賢名誉教授は、この燃料電池ネットワークに風量発電や太陽光、バイオマス(生物資源)などの自然エネルギーを組み込むことも提唱している。平田名誉教授は
、「米国の燃料電池ベンチャーが開発した『リバーシブル燃料電池』を使えば、電気から水素を作れる。発電量の変動が激しい自然エネルギー発電が、需要を超える電力を作ってしまった場合、燃料電池で水素を作ってタンクなどにためておけばいい」と話す。つまり、燃料電池が水素と電気の変換装置として、電力ネットワーク全体の需給調整の役割も担えるという。

 IT(情報技術)革命の次は、ET(エネルギー技術)革命が、社会を変革する原動力になるとの見方もある。その中心は、エネルギーウェブを究極とする分散電源の技術だ。そして燃料電池がその最右翼にある。(金子 憲治=日経エコロジー編集)

投稿者: @sushi | 投稿日時: 2003年12月02日 14:27 | 他サイトからのリンク
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